今日は、1日夏休みをいただきまして
いただきもののチケットで行ってきました
『ルーブル美術館展
肖像芸術--人は人をどう表現してきたか』。
六本木は、国立新美術館です。
お盆休み明けの月曜日ということで
狙い通りに、混雑も緩和。
割と楽に鑑賞できました。
しかし、見応えありました。
《トガをまとったティベリウス帝の彫像》
《胴鎧をまとったカラカラ帝の胸像》
《5歳のフランス国王ルイ14世》
そして、有名な《聖別式の正装のルイ14世》
これ、実際に見ると、やっぱり感動します。
結構長いこと、見つめてました。
可愛らしい表情のビスキュイ(素焼きの磁器)
《フランス王妃マリー=アントワネットの胸像》
も本当に素晴らしい。
そのほか、さまざまな彫像、肖像画が
あまりにもリアル。
首のしわ、あごのたるみ、目じりのしわまで
克明に描いていることもあり、
「ルイ14世も、マリー=アントワネットも
現実を生きた一人の人間だったんだな」という
感慨が湧いてきます。
極めつけは、《ナポレオン1世のデスマスク》
「ああ、ナポレオン、こんな顔で本当に存在して
いたんだな」ということを、強烈に実感します。
鼻が高くて、いい男。
《フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=
フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの墓碑肖像》
なんて、今日初めて知りましたが、そこに本人が
寝ているかのような精巧さ。
ふと「なぜ、こんなに、克明に「人物」を記録して
きたのだろう……」という疑問が浮かびました。
今は、世界中でスマホのカメラを使って
インスタグラムやFacebookに自撮りを
アップしている人がいますが、
こうやって「姿かたちを残したい」という
欲求が、人間には備わっているのかしら……。
でも我が日本国の、歴史上の人物の肖像画は
何だか違う……。
そもそも西洋とは考え方も違うのでしょうが、
信長、家康といった戦国武将にしたって、
なんとなーく、こんな感じの人だったのかな?
というニュアンスは分かるものの、
「写実」とは言い難い作品ばかり。
日本人って、姿形を残すことに執着が
なかったのかしら?
でも、亡くなった人を神様に祀り上げて後世に
残したり、「記録」よりも「記憶」に残すことは
好きだったようにも思います。
日本って、残されている古文書の数は、世界でも
群を抜いて多いのだそうですが、英傑たちの
「姿形」になると、写真機が海を渡って
入ってきた幕末以前は、ディフォルメされた絵
ばかり。
空間の奥行きはなくなり、
特徴ある線は強調される。
仏像の精緻さを考えれば、西欧的な写実表現も
技術的には難しくなかろうに、
どうして発想がこうも変わるのか。
何となく感じるのは、
“目に見える現実” より “心象に残る何か” を
優先してきたのが、日本人なのかな……と。
不思議だなぁ……。