映画館に行きそびれて、Blu-rayで鑑賞。
とても美しくて、心優しい物語だけれども、
劇場公開版は R15+指定。
Blu-rayのオリジナル無修正版はR18+指定。
うちの子どもたちには、まだ見せられない。
というか、冒頭から子どもに説明できない
シーンが登場w 大人の童話なのです。
しかし、その「説明できないシーン」が
あることで、“声を持たないヒロイン”
イライザ・エスポジートが、空疎な
アイコンではなく、人間味溢れる活きた
存在であることを、強く印象付けます。
綺麗ごとの範疇には納めない、
とてもキレイな物語。
デル・トロ監督の魅力が詰まった傑作
物語の中心となる異形の生物 = 半魚人は、
『ヘルボーイ』半魚人エイブ・サピエンを
彷彿させるが、その造形は、はるかに複雑で
美しく、生命の威厳さえ感じさせています。
1962年のアメリカを舞台にして、
抑えた色調で描かれる物語は、随所で
2006年の大傑作『パンズ・ラビリンス』を
連想させるが、あの映画にあった“悲壮感”
は少なく、重々しい雰囲気はありません。
筋運びは実に軽快で、
テンポよく引き込まれます。
イライザの幸福も孤独も、
同僚・ゼルダの友情も、
隣人の画家・ジャイルズが
ゲイであるがゆえに抱えている苦悩も、
ホフステトラー博士の迷いも、
“手を使わずに小便をする軍人”である
ストリックランドの傲慢と焦りも、
少ないセリフとシーンの積み重ねから
ごく自然に、心に沁み込んできます。
『パンズ・ラビリンス』を観直すには
精神的体力が結構いるんですが、
この『シェイプ・オブ・ウォーター』は
いくらでも観直すことが出来そうです。
障害や人種、LGBTなどに関する差別への
訴えが、ここまで力まず、自然なトーンで
描かれるようになったのも、
“時代が進み、社会が変化してきた”ことの
表れなのでしょうか。
おススメです。
【作品メモ】
2017年アメリカ。第90回アカデミー賞 作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞受賞。第74回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞・Future Film Festival Digital Award・C. Smithers Foundation Award – CICT-UNESCO・Soundtrack Stars Award – Best Soundtrack受賞。第75回 ゴールデングローブ賞 監督賞・作曲賞受賞。そのほか世界の映画賞にて受賞多数。
【監督】ギレルモ・デル・トロ
【脚本】ギレルモ・デル・トロ:ヴァネッサ・テイラー
【原案】ギレルモ・デル・トロ
【製作】ギレルモ・デル・トロ:J・マイルズ・デイル
【製作総指揮】リズ・セイアー
【キャスト】イライザ・エスポジート/サリー・ホーキンス:ゼルダ・フラー/オクタヴィア・スペンサー:ジャイルズ/リチャード・ジェンキンス:リチャード・ストリックランド/マイケル・シャノン:ロバート・ホフステトラー博士/マイケル・スタールバーグ:半魚人?/ダグ・ジョーンズ ほか
■Blu-ray発売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
本編:123分