こんにちは、株式会社プラップル コピーライターで
ソコキコ™オフィシャルトレーナーの佐藤秀治です。
第148回直木賞を受賞した浅井リョウ氏の同名小説
を映画化した『何者』(2016年)。
高橋源一郎氏がラジオで原作を紹介するのを聴いて
映画版の方を、Prime videoで早速鑑賞しました。
感想を一言で表すと、
とにかく痛いです。
登場人物が「イタイ」というより、観ている
こちらに心当たりがあり過ぎて、グサグサ刺
さってくる痛さですね。
私はもう46のオッサンですから、至って冷静に
見れる部分があります。
でも、この映画に、就活で悩む主人公たちと
同年代で出会っていたら、観ながら悶えてい
たでしょうね。とにかく心の痛み
が引かなくて、酒を飲みまくっていたと思い
ます。
いろいろ認めたくなくて、観終わった後、
この映画の悪口を書きまくっていたとも
思います。
それも心の防衛本能ですから(苦笑)。
Yahoo!映画の評価を見ると結構低いんですけど、
それも当然かな、と思います。
だって、こんなに心痛めつけられる映画に高評価
は出せないですよ。
一回見たら、二度は見たくない……そう思うのが
普通なんじゃないですか。
弱さゆえの理屈。片想いの辛さ。正解のない苦悩。
映画は、佐藤健 演じる主人公・二宮拓人を中心に
進みますが、拓人自身はどちらかというと「傍観者」。
菅田将暉演じる神谷光太郎は拓人の親友。バンドで
輝き、就活にも積極的に取り組みます。
自分を頼りにしてくれる親友の活躍……これもちょっ
と心に来ます。ハリー・ポッターに嫉妬するロン・
ウィーズリーと比較していただけると、拓人の心境
に近いのではないかと(苦笑)。
拓人が恋心を抱く田名部瑞月(有村架純)は、どう
見ても脈ありと思える描かれ方(拓人目線)なのに、
光太郎にべた惚れ。
これがまた苦しい! なんで光太郎? それで何で
この距離感なの!? 分かってて苦しめてる?
って感じがしなくもないですが、映画では、非常
に理想的なマドンナ像になっています。
同年代の女子から見たら…どう映るんでしょうねぇ。
もしかすると、この辺も映画の評価を下げているの
かも知れません。
これに“意識高い系”の小早川理香(二階堂ふみ)と
宮本隆良(岡田将生)が絡んで、彼らの“就活対
策本部”が出来上がります。
さらに、拓人の心を揺さぶるのが、かつて一緒に
演劇の道を志し、今は袂を分かったかつての親友
・銀次の存在。
拓人が、銀次の演劇活動に距離を置いているため、
銀次は、Twitterの中にしか出て来ません。
だから余計に心揺さぶられるんですよ。
実際に会って話せば「そういうことか」で済む話
も、Twitterで発信される“ちょい盛り”エピソード
から妄想してしまうと、どうしても自分がはるか
に劣ってしまったような気持ちになりやすい
ものですから。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」って言いますけど
そもそも、隣の芝生は青く見えるもの。
Twitterに挙げられた言葉から想像する世界って
現実以上に誇張されてしまいがちなんです。
拓人は演劇の道を全うできずに、就活の道へ。
でも、うまくいかずに就活二年目。
一方の銀次は、自分の劇団を作って毎月新しい
芝居を上演しています。
拓人は、もちろん焦っています。揺れています。
頭の中では、自分も芝居を作ってるんですから。
拓人は、銀次の芝居が演劇好きの掲示板で酷評さ
れているのを、せめてもの慰めにしています。
この情けなさ。
でもそれは、せめてもの強がり…。
そうしてないと、心が潰れちゃうから。
これもtwitterの負の影響。
そんな拓人に、冷静に助言してくれるのが、山田
孝之演じる理系のサワ先輩。
まぁ、助言といっても非常に短くて、冷たく突き
放すような感じではありますが…。
とにかくTwitterの使われ方が絶妙。
私たち世代にとって、Twitterは「おっさんになっ
てから手に入れたツール」ですが、この作品の主
人公たちにとっては、多感な10代から身の回りに
あるツール。
ただでさえ、互いの気持ちを推し量って迷ってい
るのに、Twitterという一種の「匿名可能な安全
地帯」に、気軽に吐き出された140字のテキストが
毒のあるトゲのように、心に刺さります。
しかし、就活って何なんでしょう?
こんな苦しい就活を経て、すぐに会社辞めちゃう
人も結構多いですからね。
某リ●ルート社のビジネスによって、学生たちは
大量にエントリーシート出すのが当たり前に
なっちゃって、特に重視していない会社の面接
なんてドタキャンするのが当たり前になっちゃって
いたりと、企業にとっても学生にとっても、
誰が得するのか分からないイベントと化している
ように思いますが、いかがでしょう?
ともあれ、観ている間ずっと心をグサグサ刺され
て、終わった瞬間に、「もう二度と見ないな」と
清々しいまでに割り切れる、映画『何者』。
年頃の子を持つ親御さんにもお勧めです。
【作品メモ】
2016年、日本。2012年に平成生まれの作者として初めて直木賞を受賞した、朝井リョウ氏の『何者』を映画化。中田ヤスタカと米津玄師のコラボによる主題歌も話題に。
【監督・脚本】三浦大輔
【原作】朝井リョウ
【音楽】中田ヤスタカ 主題歌:「NANIMONO(feat.米津玄師)」中田ヤスタカ
【キャスト】二宮拓人/佐藤健:神谷光太郎/菅田将暉:田名部瑞月/有村架純:小早川理香/二階堂ふみ:宮本隆良/岡田将生:サワ先輩/山田孝之 ほか
DVD発売元:東宝株式会社
本編:98分
■笑談快縁(株式会社プラップル)
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