シリーズ投稿7回目の今回は、「悪い質問」という
テーマで書いてみたいと思います。
しかし、どんな質問でもプレゼントになるわけではありません。
中には、毒のように相手の心に傷を残す質問の仕方もあります。
それを区別しておきたいと思います。
最初から決めつけてかかる問い質し方
「詰問」というのは、ご存知の通り、キツく責め立てるように
質問することを言います。
刑事ドラマなどで、犯人の取り調べをするシーンなどでお馴染み
の行為です。
強い口調、激しい言葉で、上から押さえつけるようにモノゴトを
問われても、不愉快なだけです。
こんな質問が、相手へのプレゼントとして機能するわけもなく、
両者にメリットのある、知的な対話が成り立つことはありません。
「詰問」が行われる時は往々にして、相手が回答すべき “何か”を
質問する側が、予め決めてかかっています。
先ほど例に挙げた刑事ドラマが、正にそうですね。
犯人だと決めてかかって、自白を引き出そうとするから、言葉が
厳しくなります。
私の私生活だと、いたずらなどの悪さをしたと思われる子どもに
対して、「詰問」してしまいがちです。
毎度反省はしているんですが、肝心の子どもの方に、へこたれた
様子がないので、何だかつい、力が入ってしまいます(苦笑)。
改めて、反省…。
仕事でも、「誰それのミス」で悪い結果が生じた時など、
「何でそうなった!」と、ついつい「詰問」しがちですが、
これも毎度反省しております。
まぁいずれも、“対話する両者にメリットがある” とは
言い難い状況ですよね。
むしろ、胸にしこりが生じてしまう対話です。
「結論ありき」が高じて感情的に“正義”を振り回す行為
「詰問」よりもさらに、質が悪いのが「誘導尋問」です。
これも、質問者の “決めつけ” が根本にあります。
さらに言えば、“決めつけ” と “正義感” が結び付いた時に、
是が非でも、相手に白状させようとして、「誘導尋問」が
発生しやすくなります。
「郵便不正事件」や、よく聞かれる「痴漢冤罪」などは、
その好例です。
たとえば……
痴漢を疑われた人
「私はやってないです。両手が塞がっているのに
できるわけないでしょう!?」
警察
「はいはい、みんなそう言うんですよ『やってない』って。
けれどねぇ、16歳の女の子が勇気を出して『痴漢された』
って言ってるんですよ。あなたも勇気を出して認めたら
どうですか」
痴漢を疑われた人
「だから、やっていませんって」
警察
「認めるまで、帰れませんよ?」
痴漢を疑われた人
「痴漢じゃないんだから、逮捕される理由がありません!」
警察
「痴漢じゃないって言っても、彼女は『痴漢された』って
言ってるんですよ。あなたに、そんなつもりがなくても、
被害者が『触られた』と言ってるんです」
痴漢を疑われた人
「触っていません!」
警察
「手が当たった覚えはありませんか?」
痴漢を疑われた人
「ありません」
警察
「何でそんなにハッキリ言えるんです? 満員電車の中
ですから、わざとじゃなくても手が当たった可能性も
ありますよね?」
痴漢を疑われた人
「……確かに、そういう可能性もあると思います…」
警察
「ほら、やっぱり手が当たったんでしょう? 彼女の
お尻に!」
痴漢を疑われた人
「違います!」
……怖いですねぇ。
上記の会話は、完全な想像の産物ですが、
聞く耳は持たないが、権力は持っている相手というのは
非常に恐ろしいものです。
ドラマの場合、ほとんどが “真犯人” なので、
劇中の誘導尋問が問題になることはありませんが、
現実の冤罪被害は深刻です。
くわばらくわばら……。
さらに言うと、
最初から人を罠にかけようとして誘導尋問する人は、
非常に丁寧に、ゆっくりと、こちらの言質を引き出
そうとしてきます。
うっかりすると、親切な人、先回りして答えを引き
出してくれる丁寧な人にも感じてしまいますので、
ご注意ください。
総じて、人をだまそうとする人間は、言葉が上手い
ものなんです。
「論語」にもあります。
子曰、巧言令色、鮮矣仁
(孔子は仰いました。「人に気に入られようと、口先だけでうまいことをいって媚びへつらう人間は、思いやりの心がないものだ」と。)
なので、私的には
- 変な正義感に基づく誘導尋問は、語気強く
- 悪意に基づく誘導尋問は、言葉巧みに媚びへつらう
そんなイメージを持っています。
手っ取り早く、相手より優位に立つ方法
前回、質問が苦手なのは
「バカだと思われたくない」呪縛があるから
と書きましたが、誰だって、
人より下には見られたくないものです。
そこで、手間なく、相手より優位に立てる方法が、
相手の言い間違えなどを指摘すること、です。
「それ、〇〇のことだろ? 間違ってるじゃん」とか。
そんな感じの物言いですね。
えー、正直に言いますと、
妻を相手にこういうことをすることがありましたが
相当痛い反撃を食らいますので、もう止めました。
極力、しないようにしています(苦笑)。
ま、上記の場合は、「質問」の体をとっていませんが、
同じようにして相手より優位に立とうとする思惑を、
質問のフリをしてぶつけてくる人もいます。
ほかにも相手の人より優位に立とうとして
意識的か、無意識的か、攻撃的な質問をしてくる人は
結構います。
無意識に、攻撃的な質問をしてしまう人は、
相手の答え、もしくは答える様子を見て、
ご自身でもすぐに気が付かれるので、何ということも
ないのですが、意識的に…つまり明確な意思を持って
攻撃してくる方と対峙するのは、疲れますよね。
タイプはいくつかありますが、次のようなタイプの方が
いると感じています。
- 丁寧な質問のフリをして、相手の間違いを認めさせるだけが目的の人
- 相手の論点からワザと論点をずらして、自らの持論を優位に展開させようとする人
- (悪魔の証明のように)答えの出せない質問をして、論点をすり替えていく人
もっとも、私がこれまで実際にお会いした方々の中には、
上記に当てはまる方は、ほとんどいません。
その点、幸せです。
ありがとうございます。
プレゼントとなる質問を送り合う関係とは
ここまで列記した「悪い質問」のすべてに共通することは、
- 相手への敬意の不足
- 相手への悪意(敵意)
- 相手への無関心
シリーズの2回目で書かせていただいたように、
相手の人に対して、「興味」と「関心」を示し、
「敬意」を持って互いを「尊重」する姿勢が
“聞く力” を伸ばすために一番重要なことなんです。
互い尊重できる人間同士でなければ、、
幸せなコミュニケーションは成立しないんです。
これは、「聞く」のも「話す」のも一緒です。
人の話を興味を持って聞くこと、きちんと質問することは、
その話を聞いて自分が何を思ったか、何を感じたかを
相手に「話す」ことに通じます。
「聞く」と「話す」は表裏一体です。
人の話をまともに聞けない人に、
他人を魅了する話ができると思いますか?
これ、断言してもいいですが、出来ないですよ。
相手の話を「1」聞いて、
自分の話を「10」返す、おしゃべりな人はいるでしょう。
でも、このおしゃべりな人の話が「面白い」のは、
相手の「1」しかない話を、ちゃんと受けているからです。
一番分かりやすい例は、明石家さんまです。
芸人ではない、それぞれの専門家・有識者の言葉に
1つでも面白くできそうなことがあれば、延々と
そこをいじり続けます。
これは、相手の話を(一応)聞いているからできること。
なーんにも聞いていなかったら、あんな怒涛のしゃべり芸
は出来ません。
また今日も長くなってきましたので、続きはまた明日。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また明日もお付き合いいただけますと幸いです。
今日も新しい気づきに感謝です。